現代のコミュニケーションとは(1)ー卒論での上手な取り上げ方

2017-06-30

社会人として必要な能力のひとつにコミュニケーション能力があり、企業が新卒採用の学生に期待する能力のなかで、この力は常に上位に位置づけられています。
学生たちがのぞむ採用試験では様々な方法でこの力のチェックがなされ、グループディスカッションや課題プレゼンテーション、作文・論文試験、さらにはセミナー会場での聞く態度、グループワークでの取り組み姿勢のチェックなど、この力を評価する試みがなされています。

一方で、コミュニケーション能力は、企業・官公庁など組織で働くために、また、個々人がより豊かなライフキャリアを歩むために大切な力ではありますが、この力を高めるための学校教育の取り組みは、これまで明確でなかったことも事実です。
小学校から大学まで学校教育の各段階でのキャリア教育が求められるなかで、コミュニケーションの理解と能力向上のための教育プログラムの開発は、大学教育の課題ともなっています。

一体現代のコミュニケーション能力とは何を指すのでしょうか。
上記のような内容は、卒論では序論や問題提起として有効な着眼点となります。
では、文献を基に考察していきます。これ以降の内容は、卒論では中盤の根拠として有用な視点となります。

コミュニケーション能力とは非常に幅広い概念を持っています。
それは家庭内や学校内での会話であり、またテレビ番組での芸能人同士のやり取りでもあります。
また、外国語の理解や大勢の前でスピーチする力などもコミュニケーション能力として挙げられることがあり、様々な文脈でこの言葉が用いられています。
企業で働く社会人としてのコミュニケーション能力に焦点を当てると、ビジネスの場面で適切な意思疎通ができることや、信頼関係を築くことのできる能力などがそれです。
これは、コミュニケーション能力が情報を伝達するだけではなく、感情を理解する能力でもあることを意味しています。

コミュニケーション能力の重要性は次のように指摘されています。

平尾・重松(2007)では、こうしたコミュニケーション能力を測定するための方法として、コミュニケーション能力を「聴く力」「観る力」「感じる力」「質問する力」「伝える力」の五つに分解して、それぞれを測るための質問に回答してもらうというものを提示しています。
これによって、知識や言語力を問うのではなく、行動や意識の実態を把握することができます。
それは、広く人間関係構築力を捉えるものであるということができるでしょう。
その枠組みを用いた調査の結果では、コミュニケーション能力は高いのは論理的かつ能動的タイプの人々であり、反対に感覚的かつ受動的なタイプの人々はコミュニケーション能力が相対的に低いということになりました。

この結果は、五つの能力の全てに関して、論理的性格の学生の方がそうでない学生よりも得点が高くなったことに基づいており、こうしたタイプの人々は目的達成の手段としてコミュニケーションを捉えるため、主体的に行動してコミュニケーションを行う必要性を認識していることから、コミュニケーションに関するスキルの向上を日頃から意識していると考えられます。
それに対して、感覚的なタイプの人々は自分が相手のことが好きか嫌いかでコミュニケーションを行う判断基準にしている傾向が強く、新たな関係を構築することには熱心ではないことが多いことが明らかになりました。
能動性・受動性についても、これらの傾向との関連が見られます。
すなわち、受動的なタイプよりも能動的なタイプの人々の方が高い得点となっているのは、特に観る力・質問する力・伝える力の差に由来しています。

ここからは、少なくとも平尾・重松(2007)の枠組みに基づけば積極的に自分からアプローチするタイプであるほどコミュニケーション能力が高いと見なされることがわかります。
したがって、現代のコミュニケーション能力とは、目標が掲げられているような状況下で、それを達成するための有効な手段として位置づけられているものなのです。

参考文献
平尾元彦・重松政徳、2007年「大学生のコミュニケーション能力とキャリア意識」『大学教育』
松本正雄、2006年「コミュニケーション能力」『九州産業大学情報科学会誌』
牟田武生、2005年『ニート・ひきこもりへの対応 : だれにでも起きる!?』教育出版
吉岡一志、2011年「キャリア意識からみた大学生の授業へのまなざし」『山口県立大学学術情報』

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