水素エネルギー活用を論じる際の着眼点

2018-05-19

近年、新たなエネルギー源として水素が注目を集めています。
本日の記事では、水素エネルギーを活用する方法について論じるときにどのような観点から議論を進めていけばよいか考えていきます。

水素というと、小学校や中学校の理科の授業で酸素と結合して水になる…などの簡単な特徴を習ったことがあると思います。
しかしそれをどのように活用するとエネルギー源として利用できるようになるのか、またそのような利用は環境に対して何らかの弊害をもたらす懸念があるのではないか、などという点については専門の人でなければ詳しく知っていることは少ないでしょう。

このような、何となく気になるけれども詳しくはわからないというテーマは論文の絶好の題材となります。

それでは、水素エネルギーの活用方法から考えていきましょう。
水素を燃料として活用する可能性を肯定的に捉えた意見として次のようなものがあります。

「新たなエネルギー資源への転換をはかる際には、何らかの環境影響を考慮しなければならないが、化石燃料に置き換わるものとして水素は将来に向けての我々のホープである。」
(水素社会の提唱者Jeremy Rifkin 氏)

「化石燃料以外のエネルギー源開発のためには水素燃料電池が一番である。燃料電池は効率がよく、環境影響も少ないため非常に重要な技術である。風力および太陽エネルギーの余剰分を使って水を電気分解して水素を製造して保存し、燃料電池用に使用することができる。」
(ハンボルト大学シャッツエネルギー研究センターCharles Chamberlin 氏)

確かに、水素を利用したエネルギーは効率が良く、環境に与える影響も少ないという点で重要な技術だと見なすことができるでしょう。

具体的な活用方法としては、やはり水素自動車が有力です。

例えば関西国際空港は「環境先進空港」を目指しており、空港内の輸送手段として燃料電池自動車を利用する方針を示しています。
これが実現されると、空港の中を走るマイクロバスや空港間を結ぶリムジンバスなどが全て水素自動車となるようです。

このように水素エネルギーの活用がされている一方で、水素の環境への悪影響も懸念されています。

その一例としてカリフォルニア工科大学の報告を見ていきましょう。

「水素エミッションによる環境影響は知られていない。通常大気中の水素濃度は約0.5ppmvであり、これは水、種々の汚染物質、温室効果ガスを含む大気化学サイクルに関わっている。大気中への水素漏れによる損失は、水素の製造、貯蔵、輸送システムにおいて、約10%程度と考えられており、特に輸送段階では10~20%と推測されている。」

すなわち、水素が多く大気中に放出されると大気の構成要素のバランスが変化してしまうことが指摘されています。
同報告書によるとその結果、次のようなプロセスで環境破壊が起こるとされます。

「成層圏低層部では水素やメタンが空気により光酸化されて水(蒸気)となり、特に北極および南極の極渦(寒冷低気圧)の低温域では極成層圏雲(水や硝酸が氷結した粒子群)が発生する。この氷結粒子表面で春季にはフロンが紫外線により分解されハロゲン原子が生成し、このハロゲン原子がオゾンと反応してオゾンの減少、すなわちオゾン層破壊(オゾンホール)を促す。成層圏にフロンが存在する限り、水素が多くなると極成層圏雲が多くなり、その結果オゾン破壊も多くなるという理屈である。」

以上の議論では、水素の放出が結果としてオゾン層破壊を招くことが説明されています。

水素エネルギーは環境に優しいというイメージを持たれがちですが、必ずしもそうとは限らないとする主張もあることがわかりました。

複数の着眼点からテーマを見つめていくと、このような意外な知見が得られることもあります。論文を書く際には様々な資料に当たることで、あなただけのオリジナリティを出せるようになります。

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