「肉フェス」でカンピロバクター食中毒~卒論で食中毒は書けるもの?
こんにちは。
ゴールデンウィークが終わって数日経ち、ようやくだらけた気持ちが通常の生活に戻ってきたような気がします。
連休中は家族や友達などと色々なところに出かけた方も多いでしょうが、連休中の出来事のなかで残念なニュースが目に留まりました。
それは、「肉フェス」で起こった集団食中毒です。
なんでも、東京のお台場で4月28日~5月8日まで開催された「肉フェス TOKYO 2016 春」と、福岡県福岡市で4月29日~5月8日まで開催された「肉フェス FUKUOKA 2016 春」で、「ハーブチキンささみ寿司」を食べた人の一部から、発熱や腹痛、下痢などといった、食中毒の疑いについて連絡があったとのことでした。
問題の「ハーブチキンささみ寿司」は、メニューの見本の写真こそサーモンピンク色で少しは火を通しているのかな?とも思える色ですが、なんと実物は全く火を通していない、生の鶏肉だったようです。
さらに当日は気温も20度を超えて暖かく、菌が元気に活動しやすい環境であったことも集団食中毒を引き起こした原因の一つであったとのことでした。
今回の食中毒騒動の原因となった菌は、“カンピロバクター”という菌です。
“カンピロバクター食中毒”と聞くと、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
カンピロバクター食中毒は、国内で最も多い食中毒です。
厚労省のデータによると、2014年の食中毒発生状況では、カンピロバクターが306件、ノロウイルスが293件とのことで、カンピロバクターはノロウイルスと並んで国内で最も多い食中毒の原因菌となっているとのことでした。
カンピロバクターは、スーパーなどで売っている生の鶏肉の6~7割に付着しているといわれています。
そのため、鶏肉を調理する時は食材ごとに包丁やまな板などの調理器具を熱湯消毒するか丁寧に洗浄することが、食中毒を防ぐためには必須であると言えます。
そして、最も大事なことが「火を通して加熱すること」です。冷凍した鶏肉からもカンピロバクターが検出されているとのことなので、必ずしっかりと加熱し、決して生で食べないようにしてください。
楽しい連休のはずが、カンピロバクター食中毒で寝込んでしまうことになった方は、本当に残念でしたね。
これからジメジメした梅雨の季節になり、食中毒が増えることが予想されるため、今一度食中毒への意識を高めておいた方がよさそうです。
食中毒で卒論を書くには?
こうした社会問題から、「そうだ、食中毒をテーマに書いてみよう!」と考えられる方も見えます。実際に起こった出来事に注目して、実際の事例と比較しながら調べていくのはとてもいい方法です。実際に食中毒の研究を調べてみると・・・
食の安全という観点から食生活の実践力を高める教育の推進に関する研究
石津 みどり , 大竹 美登利 , 藤田 智子 [他] , 桑原 智美 , 西岡 里奈 , 南 道子
東京学芸大学紀要. 総合教育科学系 67(2), 271-278, 2016-02-29
大分県における最近の食中毒の傾向について
小河 正雄
看護科学研究 12(1), 34-37, 2014-03
学校行事等で起きた食中毒について
櫻井 秀樹
鈴鹿短期大学紀要 33, 57-68, 2013-03-01
多種多様な研究が出てきます。ここでは3つだけ取り上げましたが、実際にはもっとたくさん見つかります。カンのいい方はもうおわかりかと思いますが、この分野、卒論としてはオススメ度合いが高いです。なんといっても先行研究が豊富。方向性も多様で、自由度も高い。さらに、文献をしっかり読んでまとめていくだけでもある程度骨格ができあがっていく。
ただし、どこにでも進められる自由度がある一方で、議論が拡散しすぎて、「いったい何が言いたいの?」と収集がつかなくなる恐れも十分にあります。最初から方向性を絞るのも難しいので、ある程度書いてみて「ここはよくわからないから削ろう」「ここはむつかしいな・・・」といった感じで整えていくと進めやすくなります。