レポートの書き方サンプル~中世日本政治史
今日はレポートのサンプルとして「中世日本政治史から学べること」を例に取り上げます。
後醍醐天皇は天皇親政を実現するために、結果的には武家の既得権益にメスを入れる方向を模索した。それによって余計な混乱を招き、武家の支持を失った。恩賞申請の上洛殺到をうまく対処できなかったことや、雑訴決断所の失敗が挙げられる。武家の問題を、公家や貴族が処理しようとしても、専門外で適切な判断ができるとは思えない。そのため、当事者の武家にとっては、経済的な権利や土地だけでなく、名誉や面子も失うことになったと言える。
例えば、はるばる地方から家族や一族を置いて上洛して恩賞や領土の権利を訴えても、貴族の的外れな決済がなされたとなっては、本人も一族の者に説明できないし、名誉も失ってしまう。こういった信頼を失う行為が積み重なって、建武の新政は瞬く間に崩壊したと言えよう。
これと同様のことが、現代日本において有力組織や富裕層への課税強化が難しい本質だと考えられる。もちろん時代が違うので、企業や富裕層が武力をもって政権を転覆させることはない。しかし、大企業であれば、課税強化に対して、どんどん従業員をリストラして、そもそも人がほとんどいらないビジネスモデルに転換する余地もできる。ここまでしなくても、倒産して失業者を大量に出すことで政府が得られるはずの税収を大幅に減らしてしまうことも考えられる。
歴史や政治に関するレポートのコツとしては、「誰かが動いたことで、誰が得をして誰が損をしていたのか」に注目することです。みんなが経済的に豊かになってハッピー!であれば何も問題は起きません。
しかし、誰かの利益を他の誰かにうつそうという場合は大きなトラブルが起こります。もしあなたがお金持ちだったとして、それを無理やり没収されるとしたらたまったものではありませんよね?それと同じことが歴史の世界では常に起こっていたのです。
中世日本政治史だと、後醍醐天皇が既得権益にチャレンジしたものの、進め方が強引であったり、既得権側があまりにも強力だったりしたため、目論見が叶わず・・・というのが大まかな流れです。
そして歴史を学んだあとに、現在にどうつながるか、あなたなりの見解を盛り込むことがポイントです。ただ歴史的な事実を羅列するだけでは他のみんなと代り映えがしないし、人によってはコピペかな?と勘違いしてしまうこともあるからです。現代の問題とつなげて考えることで、あなただけのレポートになるし、指導員からも高い評価を得られやすくなります!