どうしても洋菓子を卒論テーマにしたいあなたへ(後編)
先日の記事では、洋菓子のようなこだわりのあるテーマで卒論を執筆するときのコツについて説明してきました。
そこで示した手順は、「仮説設定→用語の定義→仮説検証→結論」というものでした。
今回の記事では、その後半部分である仮説検証と結論の書き方について方法を示していきます。
まずは仮説検証から。
これを行うためには分析作業が必須となります。
分析というと統計的な分析を行ったり、モデルを立てて検証したりと何やら難しそうなイメージがありますが、必ずしもそうした方法を用いずとも有意義な研究を行うことも可能です。
前回の記事でも参照した安宅(2010)によると、分析とは何かと何かを比べることだとされています。
少し引用して見ていきましょう。
分析では適切な「比較の軸」がカギとなる。どのような軸で何と何を比較するとそのイシューに答えが出るのかを考える。(中略)定性的な分析であろうと定量的な分析であろうと、どのような軸で何と何を比べるのか、どのように条件の仕分けを行うのか、これを考えることが分析設計の本質だ。(安宅、2010年 p.151)
定性的な分析とはアンケート調査やインタビュー調査などのことであり、定量的な分析とは数値化されたものを対象とした分析のことです。
その他には過去の研究における分析を再検討するような文献調査などの方法もあります。
ここで強調したいことは、どのような手法を用いる場合でも比較を行うことで論文の主張が現れるということです。
例えば、「AとBは○○の点で異なっている」「AとBは△△の点で同様である」といった結果が比較から得られればそれを論文の新たな発見として提示することができます。
このような比較の作業を仮説に適した形で行うことができれば卒論の完成まではあと一歩です。
洋菓子をテーマに卒論を書く場合では、過去20年の洋菓子店舗数の推移や、営業形態、営業規模の変化を明らかにするのがここでの仮説検証となります。
店舗数の推移は一見すると変化ではないように思われるかもしれませんが、過去の店舗数との比較という意味で捉えればこれも立派な比較作業になります。
洋菓子の販売形態は基本的に小規模店舗での販売とナショナルブランドとしての販売の二種類があります。
こうした区分を前提として「百貨店業界は市場の縮小により販売額及び店舗数が減少傾向にあり、同様にナショナルブランドの販売にも影響を与えている」(日本政策投資銀行、2012)というような比較を行うことが適切な検証業のプロセスとなります。
これらの作業を経て、最後に結論へと辿り着きます。
結論部分で書かなければならないことは、
(1)仮説への回答
(2)研究から明らかになった示唆
(3)論文の課題点
の三点です。
そもそもの論文の目的が仮説の検証であることを考えると一点目が必要であるのは納得してもらえるかと思います。
二点目、三点目は学問的な意義を考えたときに必要になってきます。
卒業論文を専門的な学術雑誌に投稿するわけではないとはいえ、今後同じようなテーマで研究をする人がいたときに、参考になるような内容を盛り込んでおくことは論文の価値を高めることに貢献します。
例えば、洋菓子産業の構造が今後変容していくような兆しが見られるといった示唆や、今回の論文ではインタビュー対象者が特定地域に限定されていたため対象範囲を拡大すると異なる結果が得らえる可能性があるといったようなことを記述しておくことが望ましいでしょう。
参考文献:
安宅和人、2010年『イシューからはじめよ』英治出版
日本政策投資銀行、2012年「洋菓子でつくるクール神戸~神戸における洋菓子産業の現状分析~」
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/area/kansai/pdf_all/kansai1402_01.pdf
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