スポーツをテーマにした卒論の書き方
趣味や部活でスポーツに打ち込んできた人は多いと思います。
そこで今回は、スポーツをテーマにして卒論を書くときの構成の例をご紹介します。
野球
日本プロ野球は、セントラル・リーグとパシフィック・リーグの二つのリーグに分かれて争われます。
交流戦を除いて基本的にリーグ内で試合が行われ、リーグ戦終了後には各リーグの優勝チーム同士が日本一を争う日本シリーズが行われます。
○入場者数の変化
公式データを基に両リーグの試合の入場者数の推移を見ていくと、2009年や2015年に入場者数が増加しているのに対し、2012年のように減少している年もあります。
一体このような変化の理由は何なのでしょうか。
仮説として、野球界の内部要因と外部要因が考えられます。
内部要因としては、国際大会によって野球の注目度が高まったことや、新たにスター選手が誕生し、その選手目当てのファンが増えたことなどがあり得ます。
また外部要因としては、景気が上向いて娯楽に対する支出が増えたことや、他のスポーツの人気が落ちて人々が野球に目を向けるようになったことなどがあるでしょう。
これらはあくまで仮説ですが、具体的なデータに基づいてどのような理由が妥当かを検証することができれば、立派な卒論となるでしょう。
○球団経営のあり方
日本のプロ野球では球団に親会社が存在しており、「埼玉西武ライオンズ」「北海道日本ハムファイターズ」などのようにチーム名に親会社の名前が入っているケースが多く見られます。
こうした球団経営のあり方に対して、球団の株式を一般公開してファンや他企業が球団の所有者になることがこれまでに検討されてきました。
この問題について論じた先行研究に井箟(2007)があり、次のように述べています。
村上ファンドによる阪神電鉄の株式買占め問題の際に村上氏が阪神タイガースの株式公開を提案していたがプロ野球球団の一般株式公開が球団や球界のためになるだろうか?答えはノーである。球団株が株式市揚で売買され誰でも自由に球団株が所有できれば株主イコール球団オーナーとなり多くのオーナーが発言権を得ることになる。チームは複数の意見では良い運営はできない。球団運営はGMに任せチームは監督に任せるべきで、オーナーはチームの成績結果によってGMや監督を評価すべきものである。(井箟 2007:p.5)
以上のような意見がありますが、これが必ずしも正しいとは限りません。
外国のプロ野球の事例や他のスポーツの事例を参照しながらこの意見の是非を検討することで、卒論の骨子を組み立てることができます。
サッカー
日本のプロサッカーリーグと言えばJリーグですが、そこでのクラブの経営のあり方はプロ野球とは異なる特徴が見られます。
例えば、プロ野球では球団名に親会社の名前が入っていることが一般的ですが、Jリーグでは「浦和レッドダイヤモンズ」「鹿島アントラーズ」のように地域名と愛称のみでチーム名が構成されています。
またJリーグとプロ野球の大きな違いの一つに、収入源があります。
Jリーグは、広告料収入や入場料収入だけでなく大きな放映権収入が入ります。
動画配信サービス「DAZN」を運営するイギリスの「パフォームグループ」は、10年総額で2100億円もの金額でJリーグの放映権を獲得しています。
この金額は各クラブへの配分金として反映されており、それを活かした経営が行われています。
プロスポーツはビジネスの一種ですから、このように経営的観点から分析することで論文の形に仕上げやすくなります。
おすすめ参考文献
井箟重慶、2007年「プロ野球の経営について」『関西国際大学研究紀要』8
出口順子、2014年「Jリーグにおける集客に関する基礎的研究―満席率に着目して―」『東海学園大学研究紀要』19