現代のコミュニケーションとは(2)ー卒論での上手な取り上げ方

2017-06-30

前回のコミュニケーションの記事は、現代におけるコミュニケーション能力がどのようなものか考察してきました。
今回は社会生活において求められる具体的なコミュニケーションについて、つまり話す力、聞く力について考えていきます。

コミュニケーションの基本形態が会話であることは間違いないことですが、仕事の場面等で要求される実務コミュニケーション能力においては様々な要素が重要視されます。
そのような実践的な「話す力」は次の要件を満たしている必要があるとされています。

1) 理解力: 相手が言っていることを正確に理解できる。
2) 説明力: 自分の考えを相手に的確に理解させることができる。
3) 連絡能力: 相手への連絡(報告)を怠らず適時適切に行うことができる。
4) 要件纏め力: さまざまな要件を纏め体系化して文書とすることができる。
5) 提案能力:会話を通じて相手の要望を正確に把握し、さらに止揚し、ひいては格段に高めた価値を提案できる。
(高橋真代・佐藤健二、2008年)

理解力はかつて問題視されていませんでしたが、現在では重視されているものであります。それだけにこの能力は近年急激に新たな概念が登場してきたものであり、それゆえ誰しもが十分に理解できるわけではありません。
この能力を高めていくには質疑応答が実践的な方法であり、対話の中で未知な部分を尋ね、その内容を知ることが肝要であり、それによって理解を深めることができます。
連絡能力は情報を伝えるということは、言葉の起源そのものであうことに立ち返れば、これが上手くいかないのは現代社会において大きな困難をもたらします。
これが満足に出来ない場合には、組織活動が円滑に運ばなくなり、企業組織では特に問題が生じることになります。
(松本正雄、2006年)
 
「話す力」と関連する概念として「聞く力」というものがあります。
「聞く力」とは、相手の自己開示を適切に引き出すことのできる能力を指すと考えられます。
では、どのような聞き手であれば自己開示が円滑に行われるのでしょうか。
例えば、相手がカウンセラーではなくても、話していて楽であると感じることがあります。
そのような人物は自分のことをよく聞いてもらっているような気持ちにさせることが上手な人物です。
このように、自己開示を促すことのできる人こそ「聞き上手」であるとすることができます。このような自己開示と「聞き上手」の関係は次のように整理されます。

では、日常的な「他者からの自己開示を聞く」という会話場面を考えたとき、人々はどのように他者からの自己開示を聞いているのか、またどのような聞き方によって話し手は自己開示をしやすくなるのでしょうか。
そのような他者からの自己開示を受けやすい人は、意図的あるいは無意図的にそういったスキルを身につけており、日常場面において相手の自己開示を促進し、他者との対人関係を円滑に発展させることができると考えられます。
このような人が身に付けていると考えられる話し手の自己開示を引き出しやすいスキルは、対人関係を発展させるための社会的スキルの一つです。
(高橋真代・佐藤健二、2008年)

一般に「聞き上手」とされる人の特徴として、話し手と視線を合わせることが多いこと、肯定的な表情が多いこと、話に関心を示す会話パターンを表すことなどが挙げられます。

これらはいずれも話し手の開示を促進させる行動であり、そのような聞き手はそうでない人よりも話してから好意を示されることが多いことは容易に予測できます。
親密な自己開示を行った後には、話し手は聞き手に対しての好意度が上昇します。
親密な自己開示を行うことは、一般には聞き手への好意があったと自己知覚されるため、その後も聞き手に対して好意度が高まり、自己開示度も高まる傾向があります。
さらに、聞き手が話してから自己開示や好意を受けやすい要因として、信頼というものが考えられます。

対人関係の比較的初期の場面においては、関係が長期化するにつれて信頼性の重要性が増してきます。
このように、「聞き上手」であることは相手からの自己開示を促し、好意を高めるものであります。

以上から話す力とは、理解力、 説明力、連絡能力、要件纏め力、提案能力の5つの能力に大別できます。
また、聞く力とは、話し手の自己開示を引き出すような、受け応え、姿勢のことです。
話す力、聞く力を鍛えることで円滑なコミュニケーションを目指すのもよいのではないでしょうか。

参考文献
高橋真代・佐藤健二、2008年「自己開示を引き出しやすい聞き手の非言語的特徴の検討」『徳島大学総合科学部 人間科学研究』
松本正雄、2006年「コミュニケーション能力」『九州産業大学情報科学会誌』

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