オペラのすすめ~卒論における着眼点

2017-06-23

オペラは歌とオーケストラ、舞台美術と衣装、言葉と演技といった様々な要素が一体となって、愛と死をめぐる人々の情念と社会の複雑な様相を描き出す総合芸術です。
視覚と聴覚の相乗効果には何ものにも代えがたい魅力があり、それゆえにこのジャンルが誕生して以来、貴族社会から市民社会へのヨーロッパの歴史の変遷において、娯楽と教養の対象として発展を続け、現在、世界的な舞台芸術としての地位を獲得するに至っています。
作品を様々な角度から掘り下げ、その魅力に親しむことで、現代の私たちにとってオペラが持つ意味を考え、ひいてはヨーロッパの社会と文化の成り立ちをより深く理解するための一助となります。
今回はそんなオペラの魅力や楽しむための心得について書いていきます。こういった心得を理解することで、卒論の切り口ともなりえます。

まず、オペラとは神話、伝説、歴史、同時代のドラマを題材とした劇であり、そうした内容をテーマとして組まれた台詞を女優、俳優がマイクなしで歌います。
さらにバックグラウンドミュージックはオーケストラによって演奏され、女優、俳優たちの演技、歌とのシンクロは見どころの一つでもあります。

〇オペラの魅力

1.日常生活の中では抑制された喜怒哀楽という感情を解き放ち、人間の真実を描く。
それが良く出ている一例として「フィガロの結婚」の「自分が自分でわからない」という歌を挙げます。
「フィガロの結婚」は18世紀半ばのスペイン、セビリア近郊、アルマヴィーヴァ伯爵邸が舞台のオペラ作品です。
主人公フィガロはアルマヴィーヴァ伯爵に仕える家来で、スザンナという伯爵夫人の小間使いと結婚式を挙げようとしています。
そこに浮気者の伯爵が以前廃止した初夜権を復活させ、スザンナと楽しもうと目論みます。
伯爵の目論みを阻止しようとフィガロ、スザンナをはじめとした抵抗勢力と、伯爵に親しい裁判官やフィガロに恨みを持つ医者などで構成された伯爵側の勢力がドタバタ劇を演じ、最終的にフィガロはスザンナと結婚するというオペラの王道的なストーリーです。
フィガロ側の登場人物の一人にケルビーノという少年がいます。
ストーリー上では浮気性の伯爵をだまし懲らしめるといった役を担っています。
彼は伯爵の小姓でありどんな女性にでも恋をしてしまうという思春期特有の悩みを抱えています。
第一幕で彼はスザンナにこの落ち着きのない感情を「自分で自分がわからない」という歌に託して伝えます。
「フィガロの結婚」における音楽はモーツァルトが作曲しており、中でもケルビーノのために作った曲は隅々まで魅惑に満ちたこのオペラの中でも際立った美しさを持っている、と思想史を専門とする浅田は述べています。

2.オペラは総合芸術である。
歌、指揮、オーケストラ、合唱、そして舞台装置、衣装、演技などの演出で成り立っています。
裏方も含め、百人を超える人たちが一体となって、一つの舞台を作り出しています。

〇オペラを楽しむために

1.一つの作品を徹底的に味わうこと。
ちょっと見ただけで知った気にならず、その奥深い世界に入ることが大切です。
たとえ一つの作品にしても、深く知れば知るほど、さまざまな味わい方ができるようになります。
2.オペラはリメイクの世界です。
さまざまな演奏や演出の違いを楽しめます。
違う演奏・演出に接すると、同じ作品でも全く別の姿が見えてきます。
3.作品そのものを深く知る。
作曲家、作品の時代背景、台本を読み込む、登場人物の性格、音楽の作りなど。
こうすることで自ずとオペラへの興味は広がってゆくはずです。

〇オペラを見るときの心得

1.予習はオペラを楽しむために必要
あらすじを知り、DVDを一回見ておけば、異なるプロダクションとの比較ができて、楽しみも倍増します。
2.服装は特別に格式ばったものを用意する必要はありません。
普段着+αで十分です。
3.上演中のマナー
なるべく音を立てないようにする。
拍手は基本的に音楽が終了してからです。

オペラの魅力に親しむことで卒論の内容に深みが出てくるかもしれません。

参考文献
浅田彰『ヘルメスの音楽』「少女になった少年になった少女の話」
水林章『モーツァルト≪フィガロの結婚読解≫ 暗闇のなかの共和国』みすず書房、2007

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